Amazon Flexやめて佐川急便の委託になって1年が経った

2024年8月3日

私はAmazon Flexで快適な生活を送っていたが、オファーが奪い合いで全然取れなくなってしまい、色々あってヤマトを経て佐川急便の委託ドライバーに転身して1年が経った。田舎の例なので都会でサポーターをやる人の参考にはならないかもしれないが、現状を記す。

なぜ委託ドライバーをやっているのか

私はADHDとASDの診断を受けており、かなりコミュニケーション能力に難がある。多動はないのだが、衝動が激しくて他者に対して非道なことを平気でやるのでADHDの薬を飲まされて骨抜きにされている。新卒で就職した会社は、事前の印象と違い、コミュニケーション強者でないとやっていけない場所であったので、5年頑張ったが居場所がなくなった。職場でのトラブルも多く、仕事をやめた。

それで一人でできるビジネスはないかと考えたところ、実家にハイゼットカーゴが一台余っていたので、それを使ってAmazonのドライバーになることを思いついた。置き配で客とも顔を合わせず、誰ともつるむ必要がなく、成績は機械的に数字で処理され、ずっと車の中で一人きりで居ることができるからだ。

YouTubeでAmazonFlexの動画を出して色々な人と関わりを持っている人もいたり、ステーションで何人かでつるんでいる、おしゃべり好きな古参もいたりするが、僕からすると、そんなにコミュニケーションに飢えているなら別の仕事の方が向いてるんじゃないか?と思ってしまうが、いかがだろうか。

Amazonに戻りたい気もするが、もうAmazonでやっていく自信はない

私はぬるま湯に浸かってしまったのだ。

私の持っているエリアは海沿いの田舎の住宅地で、比較的楽に配れてしまうエリアだと思われる。海沿いなので急な坂道がなく、平坦な土地に庭の広い一軒家が並んでいる。アパートや団地は少ないから階段はなし、家の入り口が坂になってるってことも少ないから、坂を登る必要もあまりない。重い水物があっても庭に入って玄関に軽バンをドン付けしておろせばいいので楽勝だ。

自分の営業所は田舎にあると言っても、ちょっと街中のエリアに行けば、アパートの2階3階まで水物を運ぶのは日常茶飯事だと思うし、Amazon Flexなら団地の5階まで荷物を持って登り降りをダッシュで繰り返さなければいけないのが普通だった。

現在の環境に慣れてしまったため、もうそんなことをやる自信がない。

生活は厳しい

一方で売り上げは極めて少ない。Amazonは半日で1万数千円くれていた。現在は朝早くから積み込みを始めて19時以降の時間指定を配り終えるまで一日中拘束されているわけだが、一日一万円程度にしかならない。街中に行けばもっと荷物があって儲かるのだろうけれど、これは運だから、私みたいに田舎のコースを割り当てられてしまったら貧乏人確定である。

儲からないからやめる人も多いわけだ。都会は仕事があって羨ましい。

基本的にエリアが空いているということはなんらかの良くない理由で空いている。例えば私のように全然荷物がないエリアであるとか、不在が多すぎてお金にならないエリアだとか、上にいる社員がよくなくて嫌な仕事ばかり押し付けられたり、困っていても助けてもらえないとか。

で、良いエリアは古参がおさえている。辞めないから空きが出ない。だから今から軽貨物をやろうと思うんだったら、基本的に悪いエリアに行かされることを覚悟しよう。

さて、生活に余裕がないので、Amazonに戻れるなら戻りたいという気もする。Amazonのオファーは一応たまにチェックするようにしていて、最近になって最寄りのステーションのオファーが復活してきているようなのを確認している。

佐川は基本的に荷物の少ない日曜日と月曜日は2連休になってしまうので、そこでAmazonのオファーをとって6連勤、あるいは7連勤するという手もある。けれども、もうぬるま湯に浸かってしまったから、Amazonのあのプレッシャーに耐える自信がない。

それにADHDゆえの基礎体力の無さもあって、休みなしは危険だ。休みなしで頑張っても、体調を崩したり怪我をしたりで仕事ができなくなったら給料なしですからね、僕ら個人事業主は。苦労して損する可能性がある。

自由に休みが取れない

Amazonと違って佐川は自由にオファーを取って休みを入れ替えるなんてことはできないし、欠員が出た際の余剰人員も確保していないため、私が休めば、隣のエリアを持っている人たちが手分けして私の分まで根性で配るという仕組みなのだ。

隣のエリアも私と同じ身分であるサポーターならまだ個数に応じて売上が上がるので救いがあるが、社員殿はいくら配っても給料は固定なので非常に迷惑をかけることになる。だからもし体調が悪くても急用があっても、極力休むことは許されないのだ。

暇で辛い

かといって給料を抜きにすればぬるま湯が天国かというと、そういうわけではない。

現在のエリアは1日に80から100個くらいの荷物がある。100個を超えることは稀で、70個くらいしかない場合は割とある。それでも初めは時間いっぱい使って配達していて、昼飯も食べていなかったが、慣れとは怖いものである。今は9時ごろ営業所を出て、正午までに50個捌けるまでになったのだ。

正午までに50個いけると大体1時間に不在も含むが20個くらい配っている計算になる。どうしてそのようなことが可能になったのか、この速度はAmazonで配達先が密集している場合に置き配していたときのレベルで早いので自分でも信じがたいが、1年かけてそれだけ効率的に回れるだけの知識がついたのだ。

このペースだと13時から14時には暇になってしまい、車内で待機しているのが苦痛である。特に夏は暑く、太陽が高いので駐車スペースは日なたになり、隠れる木陰がない。社員殿はアイドリングしてエアコンをぶん回しているが、サポーターはガソリン代自腹である。あと個人的には車の騒音が気になる。我慢して窓を開けて過ごすことにすると、今度は蚊がどこからともなく現れて非常にうざい。

本を読んだり、ノートPCを持参して会計ソフトに経費を打ち込んだりして、できるだけ有意義に過ごそうとは思っているのだが、正直金にならないし体は窮屈だし辛い。忙しい方がマシだ。

個数の調整はやっぱりそう簡単にできるわけがない

主任殿は「いつでも個数を調整できるんで、気軽に相談してください!」と言うが、そんなうまいこと行くわけがない。

同じエリア面積で個数が増えるならそれを調整と言っても構わないと思う。けれどもそうじゃなくて、普通に隣のエリアをもらって個数を増やすことになるので、走行距離が増える。時間もかかるようになる。それでどのくらい個数が増えるのかという話だが、田舎エリアの隣は田舎エリアな訳で、でかい面積の割に個数は大して増えない。メリットがあるかどうか微妙なところだ。

それにエリアをもらうということは、もともとそのエリアを配ってた人はそのエリアから撤退していただくということであり、面倒臭い。場合によっては連鎖的に全体のエリア割りをし直さなければならないことになるだろう。

またこの仕事は意外にも繁忙期と閑散期の差が激しい。閑散期に個数を増やしたくなって儲けるために担当エリアを大幅に拡大したとしよう。すると繁忙期には配りきれない量の荷物がやってくる。配りきれないというか、まず軽バンに積み込みきれない。

SAGAWAは狡猾、Amazonは知的

Amazonは荷物が多いと言っても積載量を重量・容積ともにきちんと計算して荷物を渡してくるし、セールの際にはお急ぎ便の配達にかかる日数をいつもより長くなるように調整して注文を受けるため、キャパオーバーになりにくい。オファーもたくさん出して割り増し料金で増員を図る。

一方佐川急便は何も考慮せず、発送される荷物は全て受け入れるため、いつもと変わらない人数の配達員たちは配りきれない量の荷物を押し付けられることになるが、現場の根性でなんとかするしかない。

佐川急便はAmazonの荷物を運ぶことは少ないのでAmazonのセールに左右されることはないが、楽天に入っているストアが佐川を利用していることが多いため、楽天スーパーセールをやるととんでもないことになる。

また年末は2便の荷物が激増するため、夜9時ギリギリまで配らなければいけないこともある。

閑散期だけエリアを持って、繁忙期はやれませんは通用しない。それを考慮すると迂闊に個数を増やすことはできないのだ。

上司ガチャがある

上司というか社員殿だが、一つの管轄でトラック1台を社員殿が回して、その配下にサポーター含む複数の軽バンがつくという体制になることが多い。トラックはBtoBや軽バンに積むのが厳しい大きい荷物を中心に広い範囲をくばり、集合場所をきめておいて夕方2便(=積み込み第二弾)の荷物を持ってくる。軽バンは宅配を中心に手分けして配り、日中の荷物がなくなったら集合場所で2便の荷物を受け取り、夜までかけて配る。

トラックが良心的な社員殿だといいのだが、ズルい社員殿の場合大きい荷物を沢山軽バンに押し付けたりするので仕事がやりにくい。軽バンの社員殿も親切に地図に載ってないお宅の情報をくれる人もいれば、くれない人もいるので、最初のうち困るだろう。

社員ガチャ失敗で嫌になってやめていく人も多い。私は社員ガチャに成功したため大変助かっている。Amazonでは人間関係に悩まされることはなかったが、佐川では多少なりともうまくやっていくために対人スキルが要求されるところはある。

給料はしょぼいが、人間関係が良好な現状を放棄するのは得策ではないだろうと思っている。特に自分の場合は、稼ぎたくてこの業界に入ったのではなく、ストレスのない自分に合った仕事として委託の道を選択しているからだ。能力がないのだから給料は諦めろ。

長い目で見れば普通に就職してトラックに乗るべき

私はまだ転職のできる年齢である。トラックの社員が足りないので、正社員を募集しているという。

個人事業主は高い国民健康保険税に、悪名高きインボイス制度で消費税を払い、もちろん厚生年金はなく、退職金も出ない。労災も使えない。事故を起こしたら全責任を押し付けられて切り捨てられ、これまでの苦労は水の泡。最悪刑務所である。全く割に合わない。

だから普通に考えたら正規のドライバーになった方がいい。営業もあるし、重たくて大きいものを毎日毎日朝から夜まで運ぶので大変だが給料は残業代でガッツリもらえる。

ところがやはり重労働だから腰をダメにしてしまう人が続出しているようだ。ドライバーをやれなくなったら営業所内勤の人間としてやっていく道もあるが、残業がゼロになってしまうので、佐川急便唯一の取り柄である、頑張れば誰でも大金がもらえるというメリットは無くなってしまうのだ。

そういうわけで生き残っているドライバーは高卒の野球部上がりの強靭なメンタルと肉体を兼ね備えた人間が多い。

それとなく就職を勧めてくれる人もいる。でもこれに私はついていけないだろう。それに私は会社組織というもののしがらみが嫌いなのだ。